最近、スマホでニュースやSNSを見ていると、
なんだか自分と同じような意見や
好みの情報ばかりが目に飛び込んでくるな、
と感じることはありませんか?
「あ、やっぱりみんなこう思ってるんだ!」
「私のこの感覚、間違ってなかったんだ!」
なんて、ホッとしたり、
逆にちょっぴり不安になったり…。
実はそれ、
私たちの心に潜む
「フォールス・コンセンサス効果」
という心理が影響しているのかもしれません。
今日は、この「フォールス・コンセンサス効果」について、
具体的なエピソードを交えながら、
どうすれば上手に付き合っていけるのか、
一緒に考えていきましょう!
「フォールス・コンセンサス効果」ってなあに?
「フォールス・コンセンサス効果」とは、
心理学の用語で、
「自分の意見や考え方、行動は、
周りの人も同じように思っているはずだ」
と、実際よりも多くの人が
自分と同じだと見積もってしまう傾向
のことを指します。
簡単に言うと、
「みんなもきっと私と同じように考えているはず!」
と思い込んでしまう心のクセのようなものですね。
例えば、
- 自分が大好きな推しのグループ。
「こんなに最高なんだから、
きっとみんなも好きに違いない!」 - 話題のドラマを見て号泣。
「こんなに感動するんだから、
友達も絶対泣いたはず!」 - 新しいコスメを使ってみて大満足。
「これは絶対にバズる!
みんなも欲しがるはず!」
こんな風に感じた経験ありませんか?
どうして「みんなも同じはず」って思っちゃうの?
このフォールス・コンセンサス効果、
どうして起こるのでしょうか?
いくつか理由が考えられています。
- 自分と似た人と関わることが多いから:
普段、私たちは家族や友人、
趣味の合う仲間など、
自分と価値観や考え方が近い人と
一緒にいることが多いですよね。
そうすると、周りの意見が
自分と似ていることが多く、
「世間一般でもそうなんだ」
と思い込みやすくなるんです。 - 自分の意見が一番手っ取り早く思いつくから :
何かを判断するとき、私たちは
一番最初に思いついた情報や、
簡単に思い出せる情報を
重視する傾向があります。
自分の意見は、自分にとっては
一番身近でアクセスしやすい情報なので、
それを基準に「他の人も同じだろう」
と考えてしまうんですね。 - 自尊心を守りたいから:
自分の意見や行動が「普通」で
「多数派」であると感じることは、
安心感につながり、
自尊心を保つ上で役立つことがあります。
「自分は間違っていない」と
思いたい気持ちが働くのかもしれません。 - スマホ時代の「フィルターバブル」:
そして、現代ならではの理由として、
スマホやインターネットの
「フィルターバブル」も挙げられます。
検索エンジンやSNSのアルゴリズムは、
私たちの過去の検索履歴や閲覧傾向に基づいて、
私たちが好みそうな情報を
優先的に表示しますよね。
その結果、自分の見たい情報や
心地よい意見にばかり囲まれてしまい、
「これが世の中の一般的な意見なんだ」と
ますます思い込みやすくなってしまうのです。
まさに、自分専用の泡(バブル)の中に
いるような状態ですね。
こんなところに「フォールス・コンセンサス効果」が!ありがちエピソード
エピソード1:推し活での温度差
Aさんは、
最近とあるアーティストのライブ映像に夢中。
「このパフォーマンス、本当に神がかってる!
〇〇のこの表現力、天才的じゃない!?」と、
興奮気味に友達のBさんに語りかけました。
Aさんの中では、
「こんなに魅力的なんだから、
Bさんもきっと共感してくれるはず!」
という期待でいっぱい。
しかし、Bさんの反応は
「へえ、そうなんだ。楽しそうだね」と、
少し控えめ。
Bさんはそのアーティストにそこまで詳しくなく、
Aさんほどの熱量はありませんでした。
Aさんは「え、もしかして私だけ…?」と、
少し寂しい気持ちになってしまいました。
エピソード2:SNSでの意見のぶつかり合い
Cさんは、ある社会問題について
自分の意見をSNSに投稿しました。
自分と同じような意見のフォロワーが多く、
コメント欄も共感の声で溢れていたため、
「やっぱりこれがみんなの総意なんだ!」と
確信を深めていました。
しかしある日、
その投稿に対して反対意見のコメントが。
Cさんは「え、なんでそんなこと言うの?
普通はこう考えるでしょ!」と、
ついカッとなって反論してしまい、
言い争いに発展してしまいました。
「思い込み」が引き起こすかもしれないこと
フォールス・コンセンサス効果は、
誰にでも起こりうる自然な心の働きです。
でも、この思い込みが強すぎると、
ちょっと困ったことになる場合も。
- コミュニケーションのすれ違い:
「言わなくてもわかるはず」
「みんなも賛成してくれるはず」
と思い込んでしまい、
相手に自分の考えが十分に伝わらなかったり、
誤解が生じたりすることがあります。 - 人間関係のトラブル:
自分と違う意見を持つ人を
「おかしい」
「空気が読めない」
などと 否定的に捉えてしまい、
対立を生むことも。 - 視野が狭くなる:
自分と似た意見ばかりに触れていると、
新しい視点や多様な価値観に気づきにくくなり、
自分の世界が狭まってしまう可能性があります。
「心のクセ」と上手に付き合うための3つのヒント
じゃあ、どうすればこの
「フォールス・コンセンサス効果」と
上手に付き合っていけるのでしょうか?
大切なのは、
「自分の意見は、あくまでたくさんある
意見の中の一つかもしれない」
という視点を持つことです。
- 「本当にそうかな?」と一度立ち止まってみる
何かを判断したり、
意見を言ったりする前に、
「本当にみんなもそう思うかな?」
「他の考え方もあるんじゃないかな?」
と、心の中で一度問いかけてみましょう。
特に、感情が高ぶっている時ほど、
この一呼吸が大切です。 - 色々な人の意見に耳を傾けてみる
自分とは違う趣味を持つ人、
異なる環境で育った人、
年代の違う人など、
多様なバックグラウンドを持つ人の話を
聞く機会を意識的に作ってみましょう。
SNSでも、あえて自分とは異なる意見を
探してみるのも良いかもしれません。
「そういう考え方もあるんだ!」という発見は、
あなたの世界をぐっと広げてくれます。 - 「フィルターバブル」を意識する
スマホやインターネットで情報に触れるときは、
「もしかしたら、これは私に最適化された
情報なのかも?」と、
一歩引いて考えてみるクセをつけましょう。
時には、普段見ないジャンルの
ニュースサイトを覗いてみたり、
検索エンジンの設定を変えてみたりするのも
効果的です。
まとめ
「フォールス・コンセンサス効果」は、
私たちの誰もが持っている心のクセの一つ。
そして、
スマホやSNSが身近になった現代では、
より一層その傾向が強まりやすい環境に
あると言えるかもしれません。
でも、この心の働きを理解して、
「もしかしたら、私の当たり前は、
他の人にとっては当たり前じゃないのかも?」
と考えることができれば、
人間関係のすれ違いを減らし、
より豊かなコミュニケーションを
築くことができるはずです。
自分の意見を大切にしつつも、
他の人の意見にも敬意を払い、
多様な価値観に触れることを
楽しんでみてくださいね。
あなたの毎日が、
より心豊かで、
スムーズなコミュニケーションで溢れるものに
なりますように。